2023年1月14日にNHKの「チョイス」で過敏性腸症候群が取り上げられました。
この記事では、チョイスで紹介された内容をまとめました。
目次
過敏性腸症候群の患者数は日本人の10人に一人といわれ、推定患者数は1200万人。
特に年齢の若い女性で割合が高くなります。
チョイスでは実際の患者さんと治療の経過が紹介されます。
最初は荒木さん。66歳の男性。
60歳の頃から6年間下痢や腹痛に悩まされている。
急な腹痛でトイレに駆け込むことがあり、いつ症状がでるかわからない。
駅や電車内で腹痛を感じトイレに行くことが続いた。
内科で下痢止めを処方されたがまったく改善がみられない。
発症から2年後、新聞で過敏性腸症候群のことを知り、専門の消化器内科を受診。
ここで初めて過敏性腸症候群と診断された。
続けてもう一人。
門馬さん女性30歳。
下痢が週1~2回あった。
それほど深刻ではないと思い受診は後回しにしていたが、腹痛の回数や強さが増していき救急車を呼んだこともある。
二人とも治療として薬のラモセトロンを服用した。
(ラセモトロンは一般的にイリボーという名前で処方されているもの)
飲むと、門馬さんは症状が月に数回になりヨガのインストラクターの仕事をはじめられた。
荒木さんは飲み始めて2~3日で改善し、腹痛の不安がなくなった。
過敏性腸症候群の特徴は
である。
しかし、自己判断しないことが大事。
これらがみられる場合は重篤な病気の可能性があるので、受診しましょう。
過敏性腸症候群び主な原因はストレス。
ストレスを感じるとセロトニンが出て腸が過剰に動き下痢や腹痛につながる。
下痢や腹痛がストレスとなりより悪化するという悪循環が起こる。
腹痛が出やすいのは内臓の知覚が過敏になっているので、少しの刺激で痛みを感じやすくなる。
山田さんは女性で46歳。
1年前に手術を受け退院したが、便意を感じてトイレに行っても便が出ない便秘になった。
左側のお腹が締め付けられ、右側は膨れて空気が入っているような不快感がある。
便秘薬を飲んだが改善しなかった。
その後も強い腹痛で夜中に目覚めることも。
消化器内科で詳しく検査しても異常なし。
体重は5㎏減少し、仕事をやめることになった。
あきらめず他の消化器内科を受診すると、便秘型の過敏性腸症候群と診断された。
腸の動きを正常にする薬を飲み2週間ほどで腹痛が改善。
仕事ができるまでに回復した。
過敏性腸症候群には3つのタイプがある。
男女で差がある原因はよくわかっていない。
混合型は数日間便が出ず、硬い便が出たあとに下痢になるのが特徴。
人によっては下痢型→便秘型や便秘型→混合型など途中でタイプが変わることもある。
過敏性腸症候群は命にかかわらないが、生活を脅かす病気である。
過敏性腸症候群の便秘は腸が収縮して腸が細くなっている。
なので便の量はそれほどたまっていない。
この状態で下剤を使うと症状が悪化するケースもあるので注意が必要。
消化器内科に行くのが一般的。
過敏性腸症候群は診断が難しいので、解決しない場合は専門の医師に診てもらうのも手になる。
病名がわかるだけでもいい方向へ行くことも多い。
紹介されたのが2つの薬。
「粘膜上皮機能変容薬」は腸の粘膜のにある水分の通り道を大きく広げる。
すると水分が染み出し腸が潤い、便が柔らかくなる。
(一般的にはアミティーザ・リンゼスなど)
「酸化マグネシウム」は腸にとどまり腸内の水分量を増やし排便しやすくする。
これ以外に、漢方薬の
桂枝加芍薬湯(けいしかしゃくやくとう)→突発的な腹痛に
六君子湯(りっくんしとう)→胃腸を穏やかに整える(虚弱な人向け)
が使われることもある。
過敏性腸症候群の患者は冷え性が多いので、体を温める漢方薬で効果を期待できる。
体質によっては副作用もあるので、利用の際は医師と相談し適切な使用を推奨する。
過敏性腸症候群は完治を目指すよりもうまく付き合っていくといい。
症状が出てほしくないときに出ないように調整できることが目標。
江場さんは20歳の女性。
中学生の頃から突然の腹痛に悩んでいた。
集会や授業中の静かな場面でお腹が痛くなった。
恥ずかしい気持ちがあったので、なかなか相談できなかった。
大切にしたのは安心感。
電車、車、レジ、信号待ちなど逃げ場がなくなると腹痛がよく出た。
乗り物乗る前にトイレに行ったり、スースーするガムで気を紛らわしたりした。
腹痛を抑える頓服薬も用意し、いざというときも大丈夫という状況を作った。
一番よかったのは、友達に自分の症状を話して知ってもらうことで周りが配慮してくれ、安心感につながった。
わかってくれる人がいるのは力になる。
(ミントはお腹にいいとされるが、キシリトールはお腹がゆるくなるので注意)
過敏性腸症候群改善のために、記録をするのもおすすめ。
排便日記をつけたり、どういう場合に症状が出るのかパターンを知ることで生活を工夫できるようになる。
紙でもいいしアプリもあるのでそういうものを使うのがいい。
日記には
などを記録する。
受診時に医師が診断・治療方針を考えるのにも役立つ。
過敏性腸症候群の人は睡眠障害を伴うことが多い。
しっかり睡眠を取ることで自律神経を整えられ良い。
ストレス以外の原因は何なのか。
東北大学の福土先生。
腸内最近の異常があるのではないか。
下痢型の人の腸内細菌をしらべると、クロストリジウムという細菌に変化があった。
この細菌は酪酸という物質を作り腸の動きをよくするが、過敏性腸症候群の人は酪酸の量が通常より減少することがわかった。
今後も腸内細菌の解析が進むことで、過敏性腸症候群を克服する糸口が見えてくるはず。
感染性腸炎後IBSも食中毒で腸内細菌の環境が変わり発症するのではと言われている。
ヨーグルトに入っている乳糖・オリゴ糖などで悪化する場合もあるので注意が必要。
お腹によくない成分が取り除かれた「プロバイオティクス製剤」を試すのも1つの選択肢になる。
水溶性食物繊維を多く含む、根菜・葉もの・果物など野菜系が腸内の水分量を調整してくれるのでおすすめ。
ただ、食べ物を気にしすぎるとそれもストレスになるので気にしすぎるのもよくない。
過敏性腸症候群の症状は周りの人に相談しにくいのが理解してもらうだけでも症状が改善することがある。
もしかしたら過敏性腸症候群かもと思ったら医師を頼ろう。
番組の内容は以上です。
番組の流れに沿うようにしましたが、一部わかりやすくなるよう順番を入れ替えています。
チョイスでは過去に複数回にわたり過敏性腸症候群を特集しています。
今回は、ヨーグルトが悪化の原因につながる可能性を伝えたことが革新的だなと思いました。
乳糖やオリゴ糖がよくないというのは、「低フォドマップ食」という食事法から考えられたものです。
とういんでも、自分の体質に合わないものを見つける方法として強く推奨しています。
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