当院の患者さんから非常に興味深い話をお聞きしたので、みなさんにもシェアしたいと思います。
目次
ふくぎ鍼灸院にガス症状で来院された患者Aさん。
Aさんはふくぎ鍼灸院に来る1カ月程前、低フォドマップ食という食事療法を試したところガス症状は8割ほど改善しました。
残った症状の改善と、食事療法が正しくできているのか知りたくて来院。
通院中に色々とお話をしていると、Aさんは産婦人科医とのこと。
会話の中で妊婦さんや婦人科系の病気で病院に来る方がガス症状で悩まされていることを聞き、皆さんにも知っておいてもらいたいと思いブログにまとめました。
ブログにまとめることはAさんから快諾いただきました。
大きく4つのトピックスになります。
Aさんは低フォドマップ食を知る前、過敏性腸症候群専門の病院を受診して乳酸菌を勧められました。
乳酸菌摂取後、あまりにもガスが溜まって苦しいためレントゲンを撮影したところ、腸がガスでいっぱいに。
通常ガスは大腸で発生するのですが、あまりにも量が多すぎて小腸までガスがいっぱい溜まっていました。
何も知らずにこのレントゲン画像を見たら麻痺性腸閉塞(腸が麻痺し詰まる病気)と判断するくらいひどい状態だったそうです。
過敏性腸症候群に対して乳酸菌をすすめるのは、過敏性腸症候群専門病院でもよくあります。
ですが実際にはAさんのようなケースもあり、ふくぎ鍼灸院でも同じような話はよく聞きます。
どんな症状の人にもプラスに働く食べ物はありません。
「乳酸菌は絶対に身体に良い!」という固定観念は捨て、あなたの体の変化を観察して食べるものは選びましょう。
漢方薬はガス症状を悪化させる可能性があるとの話。
Aさん自身、漢方薬を飲むとガスがたまってしまうようです。
調べたところ、大手漢方メーカー(ツムラ、クラシエ)の桂枝加芍薬湯(ケイシカシャクヤクトウ)、大建中湯(ダイケンチュウトウ)など、お腹の症状によく処方される漢方薬すべてに「乳糖」が入っています。
乳糖は牛乳にも含まれ、ガスを増やす可能性があり低フォドマップ食でも避けるものです。
ツムラに確認したところ「乳糖を混ぜることで成分を安定化させているため無くすことはできない」とのこと。
Aさんの病院ではガスが増えないよう、処方する前になるべく低フォドマップ食を試すよう提案しているとのこと。
この話を聞いて、漢方薬の乳糖がガスの量にどの程度影響があるのか調べてみました。
『乳糖コーティング漢方エキス製剤による乳糖不耐症の頻度について』という論文の中で、
「ツムラの大建中湯には1日の分量15g中に3.75g以下の乳糖が含まれている。正確な乳糖含有量は社外秘のため未公表」
とされています。
低フォドマップ食では、導入期(最初の4〜6週間)の乳糖1.25~1.5gまでが推奨量。
漢方薬でガスが増える可能性は少なからずあると言えるでしょう。
次にお聞きしたのが、妊婦さんの話です。
それまでお腹に異常がなかった女性でも、妊娠をきっかけに便秘などお腹の症状に悩まされることが多いことはよく知られています。
実はガス症状もその1つで、Aさんの体感としては「妊婦さんの二人に一人がガスに悩んでいる」とのことでした。
ガスで悩んでないか確認すると「実は…」ということもよくあるそうです。
ガスが溜まっている妊婦さんにエコー検査で赤ちゃんを確認しようとしても、ガスが邪魔をして赤ちゃんの状態がわかりにくいことも。
でもご安心ください。
「時間をかけて診てあげれば赤ちゃんの状態は分かります」とのことです。
Aさんは僕にも「エコー検査でガスが溜まった状態を見てもらいたい」とおっしゃっていただきました。
それくらい大変な状態の人が多いということだと思います。
妊婦さんの便秘は鍼灸で改善できるケースも多いので、ガス症状もお手伝いできるのではないかなと思っています。
ある月経困難症の患者さんにエコー検査を行うと、子宮が正常な位置になく向きも正常な方向を向いていない事があったそうです。
どうやらその原因はお腹に溜まったガス。
ガスが子宮を圧迫し悪影響を及ぼしていると考えたAさんは患者さんに低フォドマップ食を行うよう指示。
するとガスが減り、子宮の位置や向きが正常になり月経困難症が改善することで、処方していたピルは必要なくなったとの事でした。
ふくぎ鍼灸院に来院する女性患者さんも、生理前や生理中に過敏性腸症候群の症状が悪化する方が多いです。
鍼灸治療の考え方でも、ガスと月経困難症のお腹の反応点はとても近い関係があります。
過敏性腸症候群と月経困難症を同時に治療できるのも、鍼灸の利点です。
Aさんから教えていただいた話はどれも興味深く、鍼灸師ではできない画像診断での変化を知る事ができ非常に参考になりました。
今回のような有益な情報があれば、また紹介させていただきます。
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