過敏性腸症候群(IBS)と言えばふくぎ鍼灸院、ふくぎ鍼灸院と言えば過敏性腸症候群(IBS)。 これが少しずつ浸透してきたのでしょうか?徐々にウェブサイトをご覧になっていただく件数が増え、予約・お問い合わせを頂くことも増えてきました。
どうも、院長の市川です。
今回はそんなIBSについて一般向けに書かれた本の紹介です。 その名も「IBS(過敏性腸症候群)を治す本」。
著者の水上健先生は大腸の内視鏡検査が専門だそうで、内視鏡を通すときに簡単に通る人と通しづらい人がいる事に気づいたそうです。通しづらい人は腸に問題がないと言われているのにも関わらず、便秘や下痢で悩んでいる人が多いことを知った事がIBS治療に取り組むきっかけになったそうです。 過去にも便秘や下痢など腹部症状の本をいくつか執筆されており、その内の一冊である「女はつまる、男はくだる」という本も購入していました。 因みに、過敏性腸症候群(IBS)という単語をタイトルに入れた本は少なく一般への浸透度はまだまだのようです。「たけしの家庭の医学」や「世界一受けたい授業」などに出演された著者だからこそ許されたのでしょう。
本の内容全体としては、患者さんの手記やIBSについての基本的情報、セルフケアの方法など一通り網羅されています。その中で特徴的なのが、水上先生独自の分類でした。 現在IBSの世界的な診断基準はRomeⅣというものが設けられています。(以前のブログhttps://ibs-nagoya.jp/blog/?p=189で取り上げました。) RomeⅣは下痢型・便秘型というよりも、便の形状の中で最も頻度が高いものをその人のタイプ(型)としています。
水上先生はこれを“体質”という原因で大きく3つに分類しています。
原因によって使う薬を変えたり、治療のアプローチ法を変えます。またそれぞれが混合して起きる場合もあるとのことで、少しずつ紹介していきます。
これはストレス型と言われる通り、精神的なストレスによって腸が過敏に反応してしまうため異常が起こります。
このタイプは会議や通勤など精神的なストレスで症状が起こるのですが、休みなどで気分がリラックスしている時は症状がありません。症状→ストレス→症状→ストレスと症状自体がストレスになる悪循環に陥ってしまいます。
このタイプはほとんどが下痢型です。
文字だけだと一見難しそうですが、要するに腸の形に問題があるタイプです。普通、大腸は四角い形をしているのですが、このタイプは腸がねじれていたり腸が骨盤の中に落ちこみ、それぞれ「ねじれ腸」「落下腸」と呼ばれます。
正常な腸はこんな形ですが
参考http://trendnews1.com/kateinoigaku/10406/
左は落下腸、右は落下腸とねじれ腸が混ざっています。落下腸は生まれ持ったもので筋力の弱い女性に多く、このタイプは便秘型、または便秘と下痢を繰り返す混合型です。
胆のうから分泌される消化液である胆汁が原因で食後の下痢を起こすタイプです。
胆汁というのは脂肪を分解する消化液ですが、胆汁の量が多いか胆汁に対する反応が強いため下痢が起こります。
特に朝は夕食後から朝食前まで長い時間胆汁がためられているので朝食後は症状が強く出ます。こちらは下痢を起こします。
治療法としてはそれぞれに合った薬を処方することに加えて、 ストレス型では、ストレスでどれだけ腸が動くかを自覚してもらうことでストレスに対して腹部症状が出るのは仕方ないと理解してもらうこと。
腸管形態型ではお腹のセルフマッサージを行うこと。マッサージの方法について、本書で丁寧に解説してあります。
胆汁性下痢型は胆汁を吸着する薬を飲むこととされています。
以上になりますが、内視鏡部長である先生だからこその視点で分類されています。 通常このような分類はされていないと思われますので、現在通院している方でなかなか治療効果が出ない人は、主治医と相談しながら勧められている治療法を取り入れるのも一つの方法かもしれません。
また、水上先生が勤務する久里浜医療センターのサイトにもIBSについて詳しく書いてあります。特に便秘症状についての記載が多いので便秘でお困りの方はまずこちらを見ると参考になると思います。
もちろん本にしか載っていないこともありますし、具体的な対処法などイラストで分かりやすくなっています。IBSは症状や原因を理解することで症状を緩和する効果もありますので、サイトを参考にしつつ本でより理解を深めるのが良さそうです。
せっかくなので先に紹介した「女はつまる、男はくだる」との違いについても書いておきます。
内容の大筋はほとんど同じです。「IBSを治す本」にはゲップやおなら、お腹が鳴るなどの症状についての解説や病院で処方される薬の説明が細かく載っています。先生はあまり重要視しておられませんが、低フォドマップについても言及されています。どちらを買うか悩まれているのであれば、本作をお勧めします。
ひとまずIBSがどのようなものか知りたい、水上先生の分類やお腹のマッサージについて知りたいという方には有用な内容となっております。
便秘症状について腹部マッサージが大きな効果を発揮しているようですので、便秘症状が中心の方にもいいでしょう。 水上先生は全体的な流れとして「そんな思いつめず楽にいこうよ」という楽観的な雰囲気があり、その好き好きが分かれるかなと思いました。
また、「IBSは必ず治る」と書かれていますが目新しい治療法が書いてあるわけではないので、長年色々試して困っている人には少し物足りない内容かもしれません。
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