院長の市川です。
(これは琴欧洲)
過敏性腸症候群(IBS)患者さんに「お腹のために何かしていますか?」と聞くと多くの方が、「乳酸菌を取るためにヨーグルトを食べるようにしている」と言います。
しかし前回のブログでお伝えした通り、「下痢型、ガス型の過敏性腸症候群(IBS)は乳酸菌を取る事で症状が悪化する可能性がある」ため、ヨーグルトを食べることを控えるように伝えます。
前回:乳酸菌はお腹に悪い?!過敏性腸症候群の人が乳酸菌で下痢やおならが悪化するわけ
しかし患者さんからは「先生の言っていることは分かるけど、テレビやインターネットでヨーグルトは体に良いと言っているし、今まで続けていたことを止めるのは不安」と言われます。
そう言われてしまうと、臨床でヨーグルトについて細かくお話出来ずに終わってしまいます。
そこで今回は乳酸菌の豊富さNo.1のヨーグルトについて書いていきます。
そもそもヨーグルトとは何なのでしょうか?
牛乳を発酵させたドロドロしたやつ、という事はみんな知っていますが何か決まりがあるのでしょうか?
森永乳業のウェブサイトにはこのようにあります。
ヨーグルトは、牛乳などの乳に乳酸菌や酵母などを入れて発酵させた食品です。
乳等省令(「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令」の略)では、はっ酵乳と呼ばれています。
成分規格は無脂乳固形分8.0%以上、乳酸菌数又は酵母数1000万/ml以上と定められています。
※無脂乳固形分とは、牛乳から乳脂肪分と水分を除いた成分
ヨーグルトは乳酸菌の数が法律で決まってるんですね。
1食の量はおよそ100gですので、1回食べれば最低10億個の乳酸菌が摂取できることになります。 と言ってもそれが多いのか少ないのか分かりませんね。
「 明治ブルガリアヨーグルトLB81」には110億個以上、「森永ビヒダスBB536」には20億個以上の乳酸菌が入っています。
(明治ブルガリアヨーグルトLB81)
(森永ビヒダスBB536)
多いと効きそうな気がしますが、どれくらいの量がベストなのかは今のところハッキリしていません。潰瘍性大腸炎という病気の方に2兆個の乳酸菌摂取で効果があったという論文はあるようですが、ヨーグルトでお腹タプタプですね。
サプリメントだと数錠で兆単位の乳酸菌が摂取できるのはここだけの話。
乳酸菌は数じゃない、種類だ!
ということで一口に乳酸菌と言っても色々な種類があり、期待される効果は様々です。
ネット上に一覧がありましたのでこちらを参照しました。
期待される機能・効果を見てみると、アトピー、インフルエンザ、アレルギー、花粉症改善などはっきりと明記されているものがある一方、お腹の具体的な症状は便秘改善のみで下痢やガスについて明記されていません。
ハッキリした効果が出ていないため整腸作用とぼやかして書くしかないのかもしれません。
これを見ても前回の内容と同じく下痢やガス型の方が乳酸菌を一生懸命摂取する必要性は低いように感じます。
下痢型・ガス型の人がヨーグルトを食べる際に一番注意が必要なのは「乳糖不耐症」です。
乳糖とはほぼすべての哺乳類の母乳の中に含まれるもので、牛乳だけでなく人間の母乳の中にも含まれます。
乳糖不耐症はこの乳糖が小腸でうまく分解されず、大腸でガスを発生させたり下痢・腹痛を引き起こします。
そして、日本人の80~90%は乳糖不耐症と言われていますので注意が必要です。
「ヨーグルトに含まれる乳酸菌が乳糖を分解しているので乳糖不耐症の人でも大丈夫!」と言われることがあります。
そこでヨーグルトに乳糖が含まれるかを国民生活センターが調べたところ、牛乳の乳糖は4.5gです。22品のヨーグルトには乳酸菌の働きで乳糖が減っていると言っても平均3.5g程度は含まれています。「無脂肪」タイプでは牛乳と同量の乳糖が含まれる商品もありました。
2~3割乳糖が減る事で症状が出なくなる人もいるかもしれませんが、過信できる量ではありません。
ヨーグルトを食べると症状が悪化するにも関わらず「おなかにやさしい」「おなかの調子を整える」という言葉を信じて頑張って食べている患者さんもいます。
しかし客観的な資料から見ると、下痢型やガス型IBSの方にヨーグルトはやはり薦められません。
どうしても乳酸菌が摂りたいなら乳酸菌入りのサプリ!
どうしてもヨーグルトが食べたいのなら乳糖の少なさから「ナチュレ プレーンヨーグルト」!
「どうしても自分が好きなヨーグルトを食べたいんや!」という方は黙ってふくぎ鍼灸院へお越しください。
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