IBS治療中の患者さんから「去年より忘年会に参加しても辛くない」という報告をもらって一安心の市川です。
過敏性腸症候群(IBS)という病気は20代~40代の人に多い病気とされています。
では、いつ頃から症状を感じ始めるのか。全ての患者さんに聞いていますが、多くの人は小学生~高校生の頃です。その中で、学生の間に症状が辛くなる人もいれば、社会人になってから悪化する人もいます。
中学生や高校生の時に悪化した場合、「自分の症状がどんな病気かわからない」「治る病気なのかわからない」「人に相談しづらい」などの理由により、ご両親から問い合わせを頂くことが多くあります。
検索でウェブサイトにたどり着き、LINEなどで詳しく相談を受け説明をしてご納得頂き、予約まで話が進みます。
「あとは子供と日にちを相談して改めて予約します」となるのですが、その先のご連絡がありません。わざわざ検索して問い合わせし予約の話になるのですから、症状は良くないでしょう。本人・ご両親としても治したい、普通の日常を送りたいと思っているはずです。 それでも連絡が来ないのはなぜでしょう??
ご両親からのお問い合わせ後、本人と実際にどういう会話をしたかは分かりません。
しかし、ある程度想像はつきます。私は以前、高校生のスポーツトレーナーをやっていました。トレーナーは怪我やトレーニングの管理だけでなく、高校生とその親、両方の立場からお互いの不満・悩みを聞くことがあります。
その当時に聞いた高校生の意見を思い返して、私なりに予約へ至らない理由を考えてみました。
自分の身体の事なのに、自分の知らないところで話が進んでいる。それが納得いかない、という場合があります。
親心で心配しての行動ですが裏目に出てしまう場合もあります。 特に思春期なので自分の事を勝手に話されているのが嫌だ、という気持ちもあるでしょう。
お腹の症状はトイレにいる時間が長くなったり、頻度が多くなるため親としては気づきやすいものです。毎日お腹が痛くなり下痢や便秘、ガス症状に悩んでいても恥ずかしい思いが強いでしょう。それをご両親に伝えるのは難しいのかもしれません。そもそも大人の方でも相談しにくい症状ですから。
大人は「ここまでは大丈夫でこれ以上はダメだな」というボーダーラインが経験則から予測が立てられます。しかし経験の浅い中学生、高校生だと「今まで大丈夫だったから、今回もしばらくしたら自然と治るはず」という甘い見通しが治療の必要性を感じづらくしているかもしれません。
鍼灸院としてグゥの音も出ませんが「鍼なんて絶対嫌」という場合もよくあります。鍼というと、どうしても注射針が思い出されますのでしょうがないかもしれません。大人の反応も同じですから。
ここからアドバイスさせていただく内容は、以前私が実際に親御さんから相談を受けお伝えしたものです。もちろん100%効果があったわけではないですが、ある程度成功した方法です。
本人にスマホで調べてもらうために「こんなページあったよ」とメモを渡すだけです。 「ふくぎ鍼灸院」がお腹の症状の専門だという事、そういう治療を出来る場があるという事を知ってもらうだけでいいです。
もちろん興味を示さなかったり、やっぱり鍼は嫌だと言うかもしれません。そういう時は本人にとってまだタイミングではないのでしょう。無理強いせず待つのがいいです。
まず話をする機会を作るために予め日時を設定し、きちんと話をする雰囲気を出さなければいけません。ご両親揃ってのタイミングが望ましいです。
こういう時は、お父さんからの方が話を聞こうとしてくれるようです。お母さんは甘く見られているのではなく、甘えているだけなので気にしないでください。
そして話す内容は、体調を心配している事を伝えウェブサイトを見せるだけです。
それでもその時は興味を示さないかもしれませんが、やはりお子さんのタイミングがありますので無理強いはしない方がいいでしょう。お腹を治すために協力したいと考えていることが伝われば十分です。
本人も悩み何とかしたいと思っています。ただその手段が分からなかったり、知らないだけです。大人の階段を登ろうと、もがき頑張っている年頃ですので、そっと背中を押してあげるだけで十分です。
よく使ってしまう「あなたのためだから」という言葉。受け手は一方的に感じてしまい、心に響かないどころか反発心が生まれることもありますので、使わないほうが懸命でしょう。
症状が出てから治療を始めるのが早ければ早いほど治りやすい傾向ですが、お子さんが「治療を受けてもいい」と思うタイミングが一番早いタイミングです。親の大事な役目は、それを辛抱強く待つことかもしれませんね。
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