参照:難病情報センター
「クローン」と聞くと「クローン人間」とか「クローン羊のドリー」を思い浮かべる方もいるかもしれませんが、由来はアメリカの医師の名前です。
クローン病は原因が特定されておらず、10代~20代の若者が多く発症し、男性の方がやや多いです。現在では約40,000人以上の患者がいるとされ難病指定もされている病気です。
口から肛門のすべての消化管に何らかの異常が起こる可能性があり、主に小腸から大腸にかけて潰瘍(ただれてしまったような深い傷)や炎症性の肉芽腫(ニキビ様のはれもの)、炎症が続くことで腸の一部が狭窄(せまくなってしまう)してしまいます。
主な症状は下痢や腹痛ですが、体重減少や発熱も伴います。人によっては口内炎や肛門のあたりに異常が起きたり、重症化すると腸穿孔(腸の穴)や腸閉塞(詰まり)になります。
消化管症状以外にも貧血、皮膚や目に異常が起きることがあります。 主に小腸と大腸に病変が現れるため、出来た部位によって小腸型、小腸大腸型、大腸型に分類されます。
検査法としては血液検査やエコー、CT、レントゲン、内視鏡での検査があります。それぞれ一長一短ありますが、近年はカプセル型の内視鏡を飲み込む負担の少ない検査法も出てきているようです。
原因は特定されていませんが諸説あります。遺伝やウイルスや細菌などによる感染、心身のストレスなどいろいろ言われています。 私個人としては免疫異常説と食の欧米化説が怪しいのかな??と思っています。
自己免疫疾患というのは自分の抗体が自分の細胞を攻撃してしまっているということで、ざっくりいえばアレルギーです。花粉症やアトピー、リウマチなども自己免疫疾患です。 クローン病が近年増えていることと、花粉症やアトピー、膠原病が増えている年代が似ていることからこの説が出てきています。
欧米では人口10万人あたりの有病率が日本の約10倍もあるため、食事の欧米化が問題ではないかと言われています。 特に脂肪摂取量が増えていることが原因にあると指摘されています。 どれも決定打に欠けるため、様々な素因が複雑に絡み合っていると考えられます。
現在クローン病を完治させる治療法は見つかっていません。治療の主な目的は症状を抑えながら良い状態をキープすることになります。 治療法には薬による薬物療法やサプリメントを飲んだり、直接血管内に栄養素を入れる栄養療法が中心になります。また先程の「食事の欧米化」でも触れたように脂肪が原因の一つと考えられるため、普段から脂肪をなるべくとらないように食事指導も行われます。 腸穿孔や腸閉塞など重症化した場合は手術も行います。
当院では過敏性腸症候群に症状の似たクローン病も鍼治療を行っています。
ただ、当院が診るのは「クローン病」という特定の病気ではなく、患者さんが訴える症状に対して治療します。つまり、腹痛や下痢、腸の炎症といった症状にフォーカスします。
「クローン病という原因不明の難病」と思うと何も出来ませんが、その人の症状に注目することで結果的に楽になってきます。
これは、「病気ではなく人を診る」という東洋医学ならではのアプローチです。
基本的に副作用がないので、現在行っている病院の治療とも併用することができます。