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2017年06月24日

私が鍼で過敏性腸症候群専門治療をするようになった理由│前編

代表の北川です。

当院は「整動鍼」という技術を使っていますが、これにはもちろん理由、そして歴史があります。

私が整動鍼の良さ、凄さを説いても他の技術について知らない患者さんにはなかなか伝わらないと思います。ここまでに至った経緯や歴史を知ってもらうことで、整動鍼は他とどう違うのかを知って頂けたらと思います。

全く知識なしでの専門学校入学

私が鍼灸の専門学校に入学したのは今から10年前。26歳になる年でした。

それまで鍼灸どころかマッサージさえ一度も受けたことがないのに入学した理由は今回触れません。

当時の私は多くの人がそうであるよう、鍼灸に様々な流派があることは知りません。鍼治療というのは「刺す」という行為ができれば成立するものだと思っていました。

私が通った学校では、どんな流派があるのかを教える授業はありませんでした。それでも、様々なセミナー募集のチラシを見るにつけ流派とされるものがあることに気づきだします。

最初の違和感は授業から

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鍼灸学校には実技の授業があり、そこで鍼や灸の練習をします。教える先生により考え方やツボのとり方が少しずつ違うことに気づきました。

「皮膚の上をスーッとなぞると、ツボの上で指が止まる」

「ツボの部分だけパッと見でわかる」

「その人を見ただけで使うべきツボがわかる」

これは授業で実際に言われた言葉です。ツボの場所は教科書である程度定義されていますが、細い位置は人によって様々。場合によっては全然違う位置だったりします。

先生の言われた通りにツボを見つけようとしますが全くできません。感覚的すぎて見つかる気がしません。なんなんだ、探す指が自然に止まるって・・・。

また、ツボを使った治療は「経絡」と呼ばれる「気」の流れを整えるために使うらしい。現実主義の私は当時こんなことを思っていました。

「こんな適当にツボを取って、経絡だとか気だとか目に見えないものに頼り治すなんて非現実的」

ツボや経絡というものに不信感を抱くようになっていました。

決別の瞬間

不信感が決定的になった瞬間があります。

私の妻は鍼灸学校の同級生でした。当時体の調子がすこぶる悪く困っていました。

学校の先生にお願いし治療をしてもらったり、効果があると言われたツボへ鍼灸を自分でするものの一向に体調は変化せず兆しさえ見えません。

それを見て私は「自分の身近な人さえ治せない鍼灸とはなんなのか」と憤り、授業でのツボや経絡はテストの点数を取るためだけのものに成り下がりました。

「もっと明確で治療効果がしっかりした治療ができるようになりたい」

ツボから筋肉へ

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そんな時、学校で偶然見つけたセミナー参加者募集のチラシ。「トリガーポイント」という聞きなれない治療法に興味を持ちました。参加したセミナーは、学校の授業とは全く別物。

ツボの名前は全く出てこず、ひたすら筋肉を見ていきます。なぜその筋肉に鍼をするのかも理由がはっきりしています。

直感的に「これだ!」と思った私は、用意されていた全ての講座に参加し、セミナーを開催していた鍼灸院で働くことにしました。

初めての鍼灸院勤務。来院する患者さんが次々改善してくのを見て「彼女もここの治療でよくなるのではないか」と考えました。

彼女に通院してもらうと1回目の治療から変化あり。治療を重ねるごとに状態はよくなり、日常生活ではほとんど影響ないレベルまで改善しました。

「これなら身近な人の力になれる。私が探していたのはこの技術だ!」と感じ、この鍼灸院では5年半お世話になりました。

得意気になる先で

今でこそトリガーポイントという名前をテレビで聞くこともありますが、当時はかなりマイナーでした。同級生で勉強している人はいませんでした。

鍼灸院で調子が良くなっていく人を見るたび私も凄腕になった気になり、同級生には得意気にその話をしていました。思い返すと恥ずかし話です。

「私もこの技術を身につければ治せる鍼灸師の仲間入り」と疑いませんでしたが、少しずつ課題も見えてきました。

見え始める課題

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トリガーポイントという治療と、その鍼灸院のことを知る内に感じた課題は以下のようなものでした。

  • 長く太い鍼をたくさん使うので痛みが強く出やすい
  • 一回の治療に時間がかかりやすい
  • 院長はいわゆる職人技の使い手なため真似が難しい

一つずつ説明していきます。

受け入れられない痛み

「鍼って痛いんでしょ?」

鍼灸師が最も多くされるされる質問がこれです。

そんなこと誰が決めたか?私が認定しました!

痛みについては個人差が大きいというのが実際のところです。

同じ鍼をされて全く平気、なんなら気持ちいい人もいれば、強い痛みを訴える人もいます。

ちなみに私は痛がりです。

鍼灸学校の授業でも鍼も苦手でした。

同じ鍼でも痛みを訴えるタイプです。鍼灸師にはこのタイプが多いように思います。

勤務先の院長は「治るためなら痛みもしょうがない。結果を出すことが全て」という考えでした。しかし私が患者だったら治る前に通院をやめていたと思います。痛みに耐えられないからです。

治るなら患者に痛みを受け入れてもらう、痛がりの私にはこれができませんでした。

また、この痛みによりいわゆる「もみ返し」のような治療後の副作用が出ることもしばしばあります。これがあることで治療をやめてしまう人も多い。結局、刺激に耐えられる人が治る人になってしまいます。

どれだけ刺激量を減らせるかが課題でした。

長くかかる時間

治療って1回どれくらいの時間がかかると思いますか?

ふくぎ鍼灸院で通院している方は45分程度です。私が勤務していた鍼灸院はすごく幅がありました。平均1時間半、長いと4時間という場合もありました。

それで患者さんが満足していれば問題ないのです。長い時間をかけてもらえたことに喜びを感じる人もいます。

しかし私が患者だとしたら苦痛だなと感じました。長時間治療用のベッドで横になっているだけでも疲れます。治療の時間が長ければ生活に使える時間は減り、どの程度時間がかかるかわからなければ予定が立ちません。

時間は有限です。患者さんの時間を大切にするためにも治療時間を短くしたい。現状の方法では大幅な短縮は難しいと考えました。

職人技ゆえ到達できないゴール

勤務先の院長は異端・職人な人でした。トリガーポイントという技術を使っていますが、その内容は自分で発展させたどこの鍼灸院でも使っていオリジナルの方法。治療の方法も1ヶ月に1度は変更があります。

患者さんが良くなるために努力を惜しまない姿勢は見習うべきですが、ついていくスタッフは大変でした。私を含めスタッフが同じように鍼を打てないので、資格を取っても鍼をする機会はほとんどありません。スタッフ教育は「見て覚えろ」というタイプ。

なんとなく真似た技術で自分はどこまでできるのか。先が見えなくなりました。

新しい治療法探しの旅へ

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これらの課題をなんとか解決できないかと考え、色々なセミナーに参加しました。友人が勉強している技術、有名な流派、鍼以外の治療法。少しずつ魅力的な部分はありますが、私が求めているものではありませんでした。

探していたのはこのような治療法です。

  • 刺激が最小限
  • 誰にでも同じように結果が出る(再現性がある)
  • 短時間で効果が出る
  • 理論が体系化されており、どんな鍼灸師でも身につけられる

こんな技術は本当にあるのだろうか。不安ながらも、普及すれば患者さんだけでなく鍼灸師にもメリットがあると考えただ道を進みます。

次へのきっかけになったのは意外なものでした。

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